必聴!!! これからの音響技術 『 波面合成システム 』

※自分の主観で書かれているので,技術的に間違いあったら勘弁願います

"良い音" って何でしょう?

音圧? 音質? 位相? 曲が好みであれば "良い音" に聞こえる時もあるし,その場の雰囲気で "良い音" に聞こえる時もあったりと,その定義は人それぞれだと思いますが,自分は音質よりも音の位相 ( 要は,音がステレオで聴こえるかどうか,空間的に聴こえるかどうか ) が非常に気になります.

音量が多少小さくても,音がばっちりステレオで聞こえるお店 ( クラブ ) は踊っていて非常に気持ちがいいです. ( その代表たる,自分が最も音が良いと思うクラブが,札幌の プレシャスホール !!! )

"音がばっちりステレオで聞こえるところ" ってのはフロアでどのポイントかと言うと,簡単に書いてしまうと "より多くのスピーカーが自分の方を向いているところ".

フロアが四角で,四隅にちゃんとスピーカーがあって,それが,対角線上のど真ん中を向いていれば,そのど真ん中がベストポジションな訳です. ( 当たり前か... )

ところが実際には,クラブってところはそう簡単にはいかない訳で,人が自由に移動したり,お客さんがいっぱい入ってもそのど真ん中のベストポジションで聴ける人はごく一部の人だったり,建物の都合でフロアは必ずしも真四角じゃなかったり,スピーカーが四隅に置けなかったり,フロアのど真ん中に柱があったり,ステレオの音源を何個ものスピーカーで出力しているから音が干渉しないようにしたりと,まぁ,いろんな理由により ( 自分も専門じゃないので想像で書いてますが ),必ずしも全部のスピーカーが真ん中を向いていなかったりします.

一部の人だけが最高の音を楽しめるようにではなく,多くの人がそれなりに ( って書くと誤解を招くかもしれませんが ) 良い音に聞こえるように,その店のノウハウ & ポリシーでセッティングされているわけで,それを専門にした PA なんて人が居たりするわけです. ( 自分のイベントの時も PA には非常にお世話になっていて,助かる存在です )

ですが,申し訳ありませんが,お店によっては,この "ノウハウ・ポリシー" によるセッティングが,自分にとってちょっと物足りないなと感じてしまい,『 スピーカーがど真ん中向いてればもっと気持ちいいのに 』 とわがままな事を考えてしまうことがあります.

でも,多くの人に楽しんでもらおうとすれば,その店が推奨する,そのセッティングになるのかも知れません. ( 彼らが自分の店の事を一番わかっているはずですから )

『 どの場所にいても良い音で ( 気持ちのいい位相で ) 楽しめればいいのに... 』

この疑問を何か技術的に解決できないものかと,ここ数年思っていたのですが,先々週,某所でヒントになる技術に出会うことが出来ました.

それが 『 波面合成システム 』 というやつです.

この 『 波面合成システム 』 ですが,スピーカーの設置としては左右2個ではなく,たくさんのスピーカー ( 10個とか20個とか ) を横にアレイに繋いで,その1ブロックのみ ( 例えば,フロントのみ ) で音を出力します.

従来のシステムとの違いをあげると,

▽ 従来のスピーカーシステム
  ステレオで聴こえる場所が限定される
  ( 左右のスピーカーからの音源が均等に届く場所のみに限られる )

▽ 波面合成システム
   どの場所にいてもステレオで聴ける
そして,更に 『 波面合成システム 』 の凄い所は
音源は 2ch のステレオ音源だけでなく,5.1ch 等のサラウンドの音源にも対応可能で,フロントスピーカーのみでリアの音も再生可能
( 低音についても別途ウーハーを必要とすることなく再生可能 )
という点です.

で,その某所で実際のデモをいろいろ聴いて感動したのですが,一般に開放してるところでもデモが聴けると小耳に挟み,お台場の ソニー・エクスプローラサイエンス というところに行って来ました.

写真撮影禁止だったので実際の様子や解説資料を載せられないのが残念ですが,( 特別展示なので期間限定で 11/5 まで ),この,ソニー・エクスプローラサイエンスで実際に 『 波面合成システム 』 を体験することが出来ます.

エクスプローラサイエンスでは,これからの技術ということで展示してあって,どういうところに応用できるとは書いてはいないですが,自分としてはこれをクラブに導入したら凄いことになるなと思いました.

この文章ではイメージが伝わり難いと思うので,スピーカーの配置の図面とか,何故それが可能か 『 波面合成システム 』 の原理的なところも説明したいんですけど,今回は時間が無いのでパスの方向で...

わかりやすい資料がネットに無いか探したのですが,残念ながら,丁度いいのがありませんでした.

技術は若干違うと思うけど,この辺の記事が利用方法含めて自分のイメージに近いかな.

WIRED の記事の方は 「 床からおよそ3メートルの高さに300本以上のスピーカーが吊るされ、円形に配置 」 とあるけど,今回エクスプローラサイエンスに展示しているのはフロントスピーカーのみでサラウンドを再現可能です ( スピーカーがある単位でアレイに配置 されている点は一緒 ).

この画像 が,波面合成の基本的な考え方です.

後,WIRED の記事に ( この技術が ) 「 クラブ、テーマパーク、ライブハウスには、映画館チェーンよりも早く導入されるだろう 」 って書かれてますが,自分としても是非とも早く導入されて欲しいものです.

まぁ,とりあえず,原理云々ともかく,興味ある人はエクスプローラサイエンスに行ってみよう!

エクスプローラサイエンスは,それ以外の展示もそれなりに楽しかったので,自分的には結構お薦め.

若干,子供向けな感じもしますが,インタラクティブなメディアアートっぽいのもあって,これとこれを組み合わせればこんなことできるかもなぁって技術的な背景を考えながら見てると勉強になります.

以下,メディアージュのサイト より抜粋

9/9~11/5
『音と映像で感じる空間展』開催中

聴覚・視覚での不思議な空間認識を楽しく体験できる企画展を開催中です。
ソニーの音や映像に関する最新テクノロジーで作り出す3D空間を感じ、その基礎科学を体験しながら学べます。

■音による立体空間の体験
音源を作り出す?!
「波面合成システム」
姿は見えないのに、存在が耳で認識できる「波面合成システム」は、24個のスピーカーから出る音の波を制御し、音を空間ごと(音場)に再生する最新の技術です。
ライオンやヘリコプターの音を聞くだけで、その方角や居場所を想定することができます。

■光と映像による立体空間の体験
さまざまな立体映像の仕組みを体験しながら学べます。
「ハイビジョン立体映像」では、ソニーのハイビジョンカメラで撮影した映像を偏光めがねで見ることで、立体感のある自然の風景を楽しめます。「映画に取り入れられた立体映像」では、アナグリフ方式(カラーフィルターを使用する方式)を取り入れたダイナミックな立体映像を体験できます。

P.S.
エクスプローラサイエンスに行った後,同じく,メディアージュ内の SonyStyle をブラブラしたり ( TV 欲しくなって来た... ),代官山に買い物に行ったり,渋谷でスープカレーを食べたり,今日は充実した一日でした.
クラブに行かないと,昼間出歩いてこういう生活が出来るのかぁ...今更ながら自覚.

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これって既にBOSEのスピーカーは商品コンセプト(チャンネル数と位相とが直結せずに出力する音圧や音質で調整してる)としてずいぶん前からとりいれているみたいだよ!!

To : Boo

あっちはどういう技術使ってるか知らないけど,BOSE はこういうの昔から強いよね.

小さなキャビなのに迫力あったりするのはもちろん,少ないスピーカーでサラウンド再生とか.

今回の波面合成と推測されるシステムだと,確かパイオニアの家庭用機器で商品化されてたような気がする.( 細長いフロントスピーカーに実はいっぱい小さいスピーカー内蔵してて,フロントだけでサラウンドに聞こえるやつだったような... )

で,俺が言いたいのは,何故これをクラブの様な最も必要としているところに,導入しないのかってこと.

家で聞いてる分には,1人か2人,多くても高々数人で見るだけなので,予めきちんと理想の位置にセッティングして,ベストポジションに固まって見りゃいいと思うんだけど,クラブって動き回るし,必ずしも自分の希望する位置まで行けないから,こういうの考えるべきじゃないかと.

みんな,位相なんてどうでもいいんだろうか?
俺だけのこだわり????

面白いなツバサ君ぐらいなら書いていて気づきそうなもんだが
位相を不特定多数とした場合には波面合成はその波形が波形を消しあって成立しないのでは?

強いて言うならその原理を用いたのがノイズキャンセリング技術だよね!笑

何処からも完璧に聞こえる音♪
それは無音です☆
ということが行き着く先かと。。。。

なので何ものにも勝る音源が平面的でも波形が明確な
アナログ生音源ということになりますでしょうか?笑

To : Boo

> 位相を不特定多数とした場合には
> 波面合成はその波形が波形を消しあって成立しないのでは?

ところがそれが違うんだよね.
だからあえてここに書いているわけです.

例えば,左・右 2ch の場合や,センター,フロント 左・右,リア 左・右の 5ch の場合のような音源が不連続な場合 ( 音源同士が離れている場合 ) は,音源から円状に拡散した波はあるポイントでは打ち消しあってしまう.

ところが,今回のシステムは,音源が横に多チャンネル連なってるから,音は円状に拡散するのではなく,合成されて平面で届く.

その波のイメージが この図 です.

隣り合った波が合成されて,ひとつの波になっている.
この波はモノラルの音ではなくて,音場そのものを再現しています.

Boo ちゃんもここで書いてるジャン.

> なので何ものにも勝る音源が平面的でも波形が明確な
> アナログ生音源ということになりますでしょうか?笑

そう,その "平面的でも波形が明確なアナログ生音源" を再現してるんです.
だから,"どこに居てもサラウンドで聴ける" んです.
それがこの技術のびっくりするところ.

恐らく,単に,スピーカー並べただけじゃダメで,そこの変換が胆なんだろうけど,その辺はちゃんとまだ理解してない...

デモ聴けば話は早いよ. 実際に体感できる.

まぁ,どこでも "全く同じ" ってのちょっと言いすぎかもで,今回のデモを聴いた感じ,左・右どちらかの端に居るよりも,センターに居る方が,より,サラウンド感は高かったですが,それでも,端に居ても "十分な" サラウンド感は感じました.

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このページは, TB3 が 2006年10月23日 02:34 に書いたブログ記事です.

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